〜ダマスカス鋼を作る上で必要な道具類〜

○アンビル ○ハンマー ○ヤットコ ○加熱炉
○ベルトハンマー ○エアーハンマー ○油圧ハンマー/プレス ○非接触型温度計
○定番 ○大型のバイス定番 ○ウォーターパイプレンチ ○アーク溶接機
○ディスクグラインダー
 (ベビーサンダー)
○高速カッター ○フライス盤(たて、よこ) ○ボール盤
○リューター ○ワイヤーブラシ ○計量スプーン


 ダマスカス鋼を作るにあたって必要な道具は本当にたくさん有りますが、私自身が使用した経験のあるもののみ紹介させていただきます。これらの道具の中には経験により必要が無くなったり、入手や設置が困難な物も含まれております。また取扱には資格が必要なものもあり、わかる範囲で記載します。

 

アンビル

 熱した金属を叩く作業のときに使用する金床で、海外の鍛冶屋さんが使っている様子の写真や像を良く見かけます。アンビルには鋳鉄製のものと鋳鋼製のものがあり、鋳鋼製の方が優れた性能を発揮します。単純に鉄を叩く台などと軽く考えてはいけません。サイズもたくさんあり、何を選んだらよいか大いに迷うものですが、結論は出来るだけ大きな、鋳鋼製の物を選ぶのが良策です。数種類そろえることが出来れば最良です。大きな良質のアンビルは作業における疲労感にも大きな差があり、品物の完成にも大きく影響を与えるものです。

ハンマー

 鉄を叩いて形を変え、また鍛接する作業にも使います。ハンマーもきわめて重要な道具であり、自分に合ったように加工して使用するものです。私自身も他の人のハンマーですと思うように叩くことが出来ません。ハンマーは鍛接するときに使うものと火造りで使うものでは大きさも形状も異なり、また鍛接の工程によって形状や大きさを変えることがあります。これは火造りでも同様で一つのハンマーで何でも出来るものでは有りません。とりあえず始めるのには大きなハンマーを数種類用意し、使いながら揃えるのが良いと思います。

 ヤットコ

 鋼材をつかんで作業するのに使用します。昔の鍛冶屋さんは作るものによって使い分け、ヤットコ自体もすべて自作したそうです。私自身は大きさはほぼ同じですが挟む部分を加工し鋼材が横方向へずれないようにしたものや、前後方向へのずれを少なくする加工をしたものを使っています。鋼材にガイドロッドを取り付けることによってヤットコの代用にもなりますが、鋼材として使用できる部分が多少減少します。ガイドロッドにはこのような弊害も有りますが不安定なヤットコを使用するより安全性は高いと思います。ヤットコを選定する場合は、炉に入れて熱くなく安全に使える長さを考え選びます。

加熱炉

 文字通り鉄を加熱するために使用するもので、燃料を用いて加熱します。燃料には炭やコークスやガスを用います。加熱炉の大きさは作りたい鋼材の大きさによって変わるものですが、これも出来るだけ大きなもののほうが何かと便利です。私自身はプロパンガス炉とコークス炉を使っていますが、どちらが優秀であるかは決められません。と言うのは作る大きさや作るものによって使い分けをしていますので単純に比較することが出来ないのと、私自身の経験不足から来る技量不足によるものと思います。

ベルトハンマー

 熱した鋼材を叩き鍛接するのに使います。非常に大きなもので動力源は電気です。電気といってもコンセントに差し込むようなものではなく動力回路が必要です。作業にはこれがあるのと無いのでは大きな違いでまさに100人力!現在では製作している会社も少なく新品で入手することは難しいようです。私自身は自分の物として所有したことはありませんが是非入手したいものです。

エアーハンマー

 ベルトハンマーと同じ使い道、使い方をするものです。非常に大型で高価なものであり、ダマスカスメーカーと呼ばれる人で使用している人は少ないと思います。私自身は某大学の研究室にあるものを借用した経験が数度あるだけです。

油圧ハンマー/プレス

 これもベルトハンマーと同じ使い道、使い方をするものですが現在アメリカのブレードスミス/ダマスカスメーカーはこれを主力として使っています。ベルトハンマーなどと比較すると鋼材を叩くだけではなく押し付ける(圧縮)する作用が非常に強く、鍛接にかなりの優位性があるようです。私自身は油圧プレス/ベンダーを加工し使用していますが非常に便利なものです。油圧にて押し付ける動作のため熱した金属がハンマー面や金床に接している時間が長くなり、熱が逃げやすいのが難点です。あらかじめ軟鉄などを加熱して鋼材の変わりに叩いて作業面を加熱しておくのと良いでしょう。専用の機械を海外から個人輸入した場合のコストなどを調べています。
 ハンマー類はすべて金属を叩き潰すほどの力があります。間違って指などを叩いたとしたら、、、、
 本当に怖いですよね、危険性も高い機械です。

非接触型温度計

 ダマスカス鋼を作り始めたころによく使用していました。赤外線温度計で接触させることなく物体の表面温度を測定することが出来ます。非常に便利でしたが問題点もあり、また経験を重ねるにつれて使用しなくなりました。

定番

 出来上がった鋼材の平面性を大まかに確認するのに使用します。ただの金属製の箱を裏返したようなものですが非常に高価なものです。

大型のバイス

 使い道は多数です。具体的な使用例は別項にて書きますが出来るだけ大型の物を選ぶ必要があります。

ウォーターパイプレンチ

 鍛接が終わった鋼材を捻る作業に使います。通常は片手で作業するためのものですので持ち手が片側にしかありませんがダマスカスを作る上では加熱した鋼材を中心がずれる事の無いように回転させるため両手で持てるように改装して使用します。大きさは持ち手の長さが30〜40センチ程度のものが必要です。いいかげんな改造や使い方をすると大事故につながります。

アーク溶接機

 ダマスカス鋼を作る上で最初に使用するものです。ケーブルの端部の処理や積層した鋼材の仮付けに使用します。また、鋼材にガイドロッドを取り付けるのにも使用します。
 作業をするには「アーク溶接取扱」の資格が必要です。

ディスクグラインダー(ベビーサンダー)

 ダマスカス鋼の製作途中で使用します。鋼材に出来た「ス」や部分的な剥離個所を削り取るのに使用します。多少高価ですが日曜大工向けのものではなく工業抜けの物を選択したほうが無難ですし、何より安全です。
 グラインダーの刃を交換するには「研削砥石取扱」と言う資格が必要です。

高速カッター

鋼材を切断するのに使います。円盤状の切断砥石が高速で回転し金属を切断します。非常に便利な工具ですが危険性もあり取扱には注意が必要です。これも高価ですが工業向けのものを選択する必要があります。
 切断砥石を交換するには「研削砥石取扱」と言う資格が必要です。

フライス盤(たて、よこ)

 鋼材の表面に溝などを彫ったり切削するのに使用します。高価な工作機械ですが非常に便利な機械です。中古で程度の良いものが多数ありますが選定には充分な経験を持つ人のアドバイスが必要です。

ボール盤

 比較的所有されている方が多いと思います。通常のナイフ製作でも使用する機械ですがダマスカス鋼の製作で使用するものは大型で重量があり堅牢に設置されているものが必要です。使い方はもちろん穴あけですが、熱せられた赤い状態の鋼材内部に鍛接不良個所が見つかった場合の空気抜き穴を開けるときに使用することもあります。このため鋼材をきちんと固定でき、作業中に間違っても転倒したり、鋼材が弾き飛ばされることの無いものが必要です。

リューター

鋼材表面を削るのに使用します。長時間の使用になることも有るので電動式であれば、堅牢且つ軽量なものが良いでしょう。理想はエアーツールです。

ワイヤーブラシ

 鋼材表面を軽く磨くのに使用します。ステンレス製のブラシの毛の長さがあまり長くないもので、腰が強い細いワイヤーのものを選ぶのが良いでしょう。

計量スプーン

 鍛接剤を鋼材にかけるのに使用します。鍛接剤は大量に使うものでは有りませんので通常の計量スプーンで問題ありません。

大体このような工具・機械を使用して製作していますが、これらの道具類の入手は結構大変です。費用だけではなく、国内での流通がほとんど無かったり、有ってもごく限られた範囲での流通の場合もあります。また、運良く情報が手に入り、道具も買える。今度は作業場所の問題に直面します。騒音・振動・排気・廃材・・・・。

ね、結構憂鬱になるものでしょう? 笑
てなわけでCRANEは憂鬱になっていくのです。